グロービス経営大学院卒業生アンケート2018考察3

(その2の続き)

年齢別dodaの平均年収

下図がdodaが公表している年齢別平均年収です。

年齢 平均年収 対5年前
22 279
23 293
24 320
25 342
26 360
27 376
28 388
29 402
30 416
31 430
32 445
33 452
34 459
35 468
36 475
37 483
38 485
39 501 107.1%
40 513
41 515
42 523
43 525
44 543 105.8%
45 542
46 559
47 574
48 585
49 594
50 605
51 620
52 622
53 637
54 658
55 671
56 682
57 712
58 747
59 790

ちなみにグロービスのレポートにある、

仮にDODA集計(※)による年齢ごと平均年収の差分を同年代ビジネスパーソンの年収増加とした場合、35歳から39歳では7.1%40歳から44歳では5.8%であり、

(アンダーラインは筆者の追記)

というのはそれぞれ図の赤字の箇所を示していると思われます。

グロービス在校生の職種の割合で補正

さて、これに前回示した、グロービス在校生の職種の割合で重みづけした平均年収に基づく平均年収増分を補正してみましょう。前回の散布図に示しましたが回帰直線は、

\begin{eqnarray}
y=1.6245x-337.42\\
\end{eqnarray}

となります。つまり、平均年収が100万円上がると平均年収増分が162万円上がる可能性がある、ということですね。グロービス補正後平均年収は461万円でしたので、この上式に461万円を当てはめると、平均年収増分は411.47万円となります。故に、461万円+411.47万円=872.47万円がdoda平均年収の最高額を示す59歳に達成するように、年齢別平均年収を補正してみると、以下のようになります。

年齢 補正年収 対5年前
22 279
23 294
24 322
25 345
26 364
27 381
28 395
29 410
30 425
31 441
32 458
33 466
34 475
35 485
36 494
37 503
38 507
39 525 108.2%
40 539
41 543
42 552
43 556
44 577 107.0%
45 577
46 597
47 614
48 628
49 639
50 653
51 671
52 675
53 693
54 717
55 733
56 747
57 782
58 823
59 872

これで一応職種の割合をグロービスに合わせた年齢別平均年収が導けたことになります。

グロービスのレポートの検証

さて、やっとここまできました。グロービスレポートにあったdoda平均の「35歳から39歳では7.1%、40歳から44歳では5.8%上がった」という主張を置き換えてみましょう。

doda平均 グロービス職種割合補正doda平均
35→39歳 7.1% 8.2% 115.5%
40→44歳 5.8% 7.0% 120.7%

置き換えても比は2割増し弱とそれほど変わりません。

置き換え後の値を用いてレポートの主張を検証します。レポートによると、

アンケート回答時年齢が35歳から39歳までの平均年収の増加率平均は35.0%、40歳から44歳までは27.4%であった。・・・(中略)・・・グロービスの卒業生では各年代で約5倍の大きな上昇率を示す。

(下線は筆者の追記)

とあります。35→39歳で7.1%から8.2%、40→44歳で5.8%から7.0%と置換したとしても、約5倍は言い過ぎですが、約4倍とはいえることがわかります。

ここまでのまとめ

グロービスのレポートには「グロービスの卒業生では各年代で約5倍の大きな上昇率を示す。」とありました。レポートには「仮に」とあったので、もう少し近いデータとの比較とするために、doda平均をグロービス在学生の職種割合に応じて平均年収増分を見直して比較したところ、「約5倍の上昇率」は言い過ぎですが、約4倍の上昇率とはいえそうです。

この記事では、グロービス卒業生の職種割合について最新のグロービス在学生データを代替として採用しているため、実際の卒業生の職種割合はわかりませんが、いずれにせよ「大きな上昇率を示す」という主張は妥当性がありそうです。

・・・と、ここまで来て一つ気になることがあります。グロービスレポートでは2017年のdoda平均年収を用いて年収増分を評価していますが、それでは賃金上昇率が考慮されないのではないのでしょうか。

(その4につづく)

<2018/10/22追記>
引用元のつづりが誤っておりました。関係者の方々には大変失礼いたしました。本文中の表記を訂正するとともに、ここにお詫び申し上げます。
(誤)duda
(正)doda

なお、パーソルキャリア株式会社は転職サービスのブランドである「DODA」を2018年10月16日に「doda」にリブランディングしましたので、本稿では後者に合わせて表記しております。

併せて、「グロービスのレポートの検証」章の数値が100%ベースになっておりわかりづらかったため、上昇率のみの表記に変更いたしました。表記上の問題であるため、結論に変更はございません。