国際認証と、欧米MBAと国内MBAの価値の差

ハーバードなどの有名MBAと一橋などの国内MBAの価値の差は、どのくらいあるのでしょうか?

国際認証とひとくくりに言っても・・・

よく、国際認証をとっていないMBAなんてバッタモンだ・・・という話を聞きます。しかし国内MBA比較(名古屋商科大学編)で書きましたが、国際認証を取得していることと質が高いということはイコールではありません。また、国際認証という意味で言えば日本を中心とし海外の学校もメンバーとなっているABEST21も国際認証ですので、青学も国際認証を取得していると言えます。つまり「国際認証」とは聞こえが良いですが、その実は?と考えると非常にあやふやなものだと思います。

国際認証の事例

同じ国際認証で食品にまつわる安全基準でHACCPというものがあります。 国連の国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)の合同機関である食品規格 (コーデックス) 委員会が発表しています。昔、BSE問題が大騒ぎになった時に近くの焼肉チェーン店で「うちは国際認証HACCPを取得しているのでBSE対策は万全です」という張り紙がしてありました。しかし、HACCPでBSE肉の混入は防げません。とりあえず「国際認証」を謳っておけば威力抜群、権威ある国際機関から認証された、質の高い厳格な管理を徹底しているから安全だとうまく騙せるだろうという腹積もりか、HACCPも中身も知らずに本当に店員がそう思ってるのか、その程度の認識です。つまり国際認証が何者でどういうものか、謳う側も謳われる側もよくわからず一人歩きしているのです。

また2014年には、情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際認証ISO 27001を取得した某出版会社の情報システム子会社が顧客情報を大量に漏えいして問題になりました。国際認証の実効力は、その程度です。
(ただ逆を言えば、国際認証を振りかざされるとひれ伏す人が世の中にはたくさんいる、ということです。そういう層にアピールするには、最高のシンボルになるのでしょう。水戸黄門の印籠と同じです。)
つまり、国際認証を取っていれば大丈夫とは名実ともに全く言えないのです。

バッタモンのMBA?

あと、日本で取ったMBAなんてバッタモンだ・・・という話を聞きます。MBAは日本語で修士(経営学)、もしくは経営学修士という学位です。日本で取った学位がバッタモンというのなら、同じく日本で取った博士(経営学)もバッタモンだし、修士(理学)もバッタモンです。2015年にノーベル医学賞を受賞した大村智さんは日本で修士(理学)、博士(理学)、博士(薬学)を取りましたが、バッタモンの割にはすごい業績ですよね。経営学のしかも修士だけ日本でとったらバッタモン、という論理が理解できません。修士(経営学)はMBAだし、MBAは修士(経営学)です。程度の差はあれ、学位としては間違いなく本物です。

結局差はあるの?

で、本題のハーバードなどの有名MBAと一橋などの国内MBAの価値の差ですが、ここまで書いといてアレなんですが、やはり歴然とした差があると思います。その差は主に学生側の気合いにあります。欧米MBAの場合は、休職なり退職をして(もしくは会社の期待を背負って社費留学して)、しかも海外に長期間滞在するわけです。この時点で背水の陣状態です。それはもう必死に勉強するでしょう。また学費も桁違い、とまではいかないものも、2倍~4倍違います。さらに生活費もかかります。回収に躍起になること受けあいでしょう。次に英語です。英語でネイティブの教員や学生と討論するわけです。ついていけなかったら最後は退学です。もう必死に英語スキルが身に付くでしょう。最後に多様性です。様々な国から知的エリートが集まるわけです。井の中の蛙とは縁遠い環境でしょう。

欧米MBAと国内MBAの差は、国際認証なりガラパゴスMBAプログラムなりが生み出すのではなく、学生本人の置かれた背水の陣的な環境が生み出す、と考えます。私は短期留学の経験しかないのですが、短い期間でもそう感じました。