MBAでは何が得られる? 働きながらビジネススクール→起業したViibar代表に聞く

HUFFPOSTに、早稲田ビジネススクールの夜間MBAに通った後Viibarを起業された上坂優太さんの記事が掲載されました。上坂さんは「ある程度客観性をもって判断するのに、MBAで一通りなめることができるフレームワークや、ケーススタディの蓄積はそれなりに有用」としています。

加えて『経営のフレームだけ学ぶのであれば、極端な話、本読んでググって、一人でもできます。ただ、限られた期間の中で大量にインプットしてアウトプットしたいと考えると、ビジネススクールに入って「やるしかない」状況を作ってしまうのが早い』とも。
これは共感できます。自分でお金を払って、周りに同じく働きながら勉強している同志がいて、お互い切磋琢磨しながら、計画通りに授業や課題、論文に取り組む。これは独学ではまずできません。

ビジネススクールと限界と経営学の進化

ただ、『ビジネススクールで学べるのはあくまで「切り口」であって「答え」ではない。シミュレーションはできても、起業体験そのものは得られません。』と、ビジネススクールの限界も述べられています。この点もその通りだと思います。逆に、実務で得られることをビジネススクールで勉強しても、意味がありません。

ところで、ビジネススクールで教えられる経営学もその限界を突破、あるいは新たな知見を生み続けて進化しています。例えば経営戦略論では、ポジショニング理論→リソース・ベースト・ビュー→ダイナミック・ケイパビリティと主流が変化してきました[1]。

マーケティング論では、アメリカ・マーケティング協会(AMA)がマーケティングの定義を時代とともに拡張しています。1948年には「生産者から消費者もしくは需要家に対し、商品とサービスの流れを方向づける辞表活動の遂行である。」だったのが、2007年には「マーケテイングとは、顧客、依頼人、パートナー、社会全体にとって価値のある提供物を創造・伝達・配達・交換するための活動であり、一連の制度的機関、そしてプロセスである。」と進化しました[2]。

人的資源管理も、主題が人事労務管理→人的資源管理→戦略的人的資源管理と変化してきました[3]。

こうして今の瞬間を切り口とした経営学だけでなく、過去から現在の経営学の遷移を踏まえ、これから経営とはどうなるかを、実務とらせん状にリンクしながら学べるのも、ビジネススクールの特徴だと思います。

引用文献
[1]福澤光啓 ,”ダイナミック・ケイパビリティ,” 組織学会大会論文集,2012.
[2]髙橋郁夫,”国際化時代の我が国のマーケティング研究: その現状と課題”,三田商学研究,2008
[3]上林憲雄,”社会科学としての経営学とその危機”,商学論究,2017