ちょうど良い例がありましたので、ご紹介いたします。もちろんMBA課程に通っている方には釈迦に説法です。
下図は本ブログのPC向けページに設置したアンケートの集計結果です。このアンケートは本ブログを訪れた方に、自身とMBAの関係を問うものです。2017年5月8日から設置していますので、調査期間は4か月ちょっとです。
8票と最も票が多い項目が「3: MBAを受験する(予定)」なのは、容易に想像できると思います。MBAを受験するに当たり、難易度や試験内容など具体的な情報を入手するために検索エンジンを通じて多くの方が本ブログに辿り着いたのでしょう。
注目すべきは2番目に多い6票の項目が「5: MBAに在学中である」であることです。既に在学中であれば、もうMBAについて調べる必要ないはずです。でも、気になっちゃうんですよ、他のビジネススクールが(笑)。
なぜ在学中の人が?
人間は自己の認知体系の整合性を保とうとする強い傾向をもっているため、自己の選択が正しかったことを証明しようとします。「自分のビジネススクールの選択は正しかった」という認知と「自分のビジネススクールは良い」という認知は協和します。でももし「自分のビジネススクールは本当に良いのか?」など疑問を抱いた場合、2つの認知は矛盾します。これを認知的不協和といいます。この場合、例えば「他のビジネススクールは○○が良くない」とか「自分のビジネススクールは××がよい」という情報を得ることで、認知の矛盾を解消しようとします。その情報を得るために、MBA在学中にもかかわらず本ブログにいらっしゃっる方が多いのではないかと思います。
似たような例で、高い商品を買った人は、その選択が正しかったことを確認するために商品のパンフレットを購入後にもかかわらずよく読む、という調査結果もあります。
認知的不協和はビジネススクールにおいてマーケティング論や意思決定論の中で出てきます。ひょっとしたら、組織行動論でも同じようなのが出てくるかもしれません。もしこれを知っていれば、顧客への購入後のフォローの仕方を考えなおしたり、人間の流されやすさに抗えるようになれるかもしれません。
ちなみに
あとで気づいたのですが、このアンケートには不備があります(笑)。質問項目をよく見てみると「1: MBAとはなにか知りたい」と「2: MBAに興味がある」はおそらく同じことを問うていると思います。票が分散しているだけで、この2つを合算したら、同率1位になるでしょう。それでも、MBA在学中の方が多いという結果は誤差の範囲ではないと思います。