卒業生の声をHP上に公開している学校は思ったより少ないです。あったとしても、計量テキスト分析してもあまり意味がない程度の量しかないことが多いです。いろいろHPを回ってみたら、MBAではありませんが東京理科大MOTが31人の卒業生の声を公開していましたので、せっかくですので見てみたいと思います。
東京理科大MOTは飯田橋駅から徒歩一分、神楽坂の入口に立地しています。理科大のメインキャンパスである神楽坂キャンパスの一角にあり、サテライトキャンパスではありません。飯田橋はJRと地下鉄4線が通っているので、交通の便がいいですね。分析にはこれまでと同様KH Coderを利用しました。データソースは東京理科大MOTホームページの「在学生・修了生インタビュー」に掲載されていた31人分のインタビュー記事から、肩書や氏名を削除したテキストデータです。総抽出語数は18,618、異なり語数は2,323でした。
共起ネットワークによる分析
下図が生成された共起ネットワークになります。
■パラメータ
カラー:中心媒介性、最小出現数:12、 最小文章数:1、 描画数:98、 強い共起関係ほど太い線で描画、 出現数の多い語ほど大きい円で描画、 最小スパニングツリーを強調表示、ラベルが重ならないように位置を調整
まず自校の名称の周りを中心に見てみましょう。
左上のほうを見ると「技術」「研究」「開発」と、MOTらしい言葉が見受けられます。しかし、「MOT」の周りは他のビジネススクールと同じような言葉が並んでいますね。
ちょっと左のほうを見てみます。
「講義」に「ディスカッション」と「議論」がつながっています。授業は講義形式だけでなく、ディスカッション形式も重視しているようです。「イノベーション」はMOTのテーマだと思うので、当然出てきていますね。
次に、下のほうです。
「理論」と「実務」が出てきます。インタビューの内容を確認すると、理論だけでなく実務的な内容も両方学べる、それがMOTの特徴だ、という文脈で出てきます。
最後に左のほうです。
「学生」同士で「多く」の「刺激」を「受ける」「深い」「関係」なのでしょう。
まとめ
全体を眺めてみると、MOTといっても「技術」「研究」「開発」といったキーワード以外は、MBAと差はない印象です。MBAでは鉄板の「ビジネス」「マネジメント」「経営」「戦略」「マーケティング」といった言葉がしっかりはいっています。そういう意味では、ちょっと技術経営に寄ったMBAといってもよさそうですね。
ところで・・・・
ここまでで5校の卒業生の声を計量テキスト分析で見てきましたが、どうも特定のフォーマットというか、方向性みたいなものがあるような気がします。専門知識を教員から学べて、課題を発見したり解決する能力が身について、学生同士の交流もとても刺激的で有意義だ、というような感じです。
ビジネススクールとはそういうものだといえばそれまでかもしれませんが、法や制度的なしがらみや、学習対象の分野が同じであるとはいえ、没個性な感じがします。
ここで挙げている卒業生の声は、生の声ではなく、各校の広報の一環として媒体に掲載されているものです。ですので、「卒業生の声」という名称ではあるものの、本当の卒業生の声ではないのかもしれません。でも、当たり前ですよね。うちの学校は最悪だった、とか、金払って2年間損した、なんて感想は絶対載せるわけがありません。
でもそれにしても、画一的すぎます。計量テキスト分析では、少数のきらりと光る尖った言葉を拾いにくいからなのかもしれません。
というか、そもそもMBAとはなんなんでしょうね?(笑)